スバル360 (アリイ/旧LS 1/32) その2 ・ 年式とグレードについて
さて、このキットのスバル360の年式、グレードを探る前に、実車について簡単に説明すると、誕生したのは1958年で、’69年に後継のR-2にバトンタッチするまで、足かけ12年に渡って生産されました。この間、幾多のマイナーチェンジを受け、分かりやすいところでは、ヘッドライトの形状が大きく変化したことです。グレードに関しては、初期型では、おそらくコンバーチブルやコマーシャルと区別する目的で「セダン」が設定されましたが、やがて「デラックス」、さらには「スーパーデラックス」が加わるに到って、セダンは「スタンダード」に置き換えられたようです。また、厳密にはグレードとは言えないかもしれませんが、最終型で「ヤングSS」などが登場したのは、みなさんもよくご存じだと思います。
(65年式のカタログより。右上がデラックス、右下がスーパーデラックス、左の2台がスタンダードと思われる。)
では、このキットのスバル360は何年式で、グレードは何かについて、今回製作した素組み完成品を元に検証してみましょう。なお、前回紹介したパッケージに「昭和33年」と印刷されていますが、これは誕生した年(’58年)を単に記載しているだけで、キットのスバルの年式ではありません。まあ、58年式の初期型(デメキン)でないのは一目瞭然ですが。
まずボディを見ると、前述のように初期型でないのは言うに及ばずですが、リアフードや給油口、フェンダーミラーの形状から65年式以降のものであることが分かります。また、フロントフード先端にスリットがあるので、これが無くなった68年式以降の最終型(ハセガワの1/24はこのタイプ)とも異なります。となれば、65年~67年式ということになりますが、決め手はサイドフラッシャー(ウインカー)があることで、これが取り付けられたのは67年式からです。その上で細かく見ると、リアフードにバックアップランプが付いていないので、グレードは「スタンダード」ということになります。これは、組立説明書でフロントウインドウやルーフ上のモールの塗装指示が「つや消し黒」となっていることとも整合します。もし「デラックス」などの上位グレードであれば、これらの部分にはメッキモールが付くので、サイドウインドウと同様に「シルバー」塗装を指示されてもおかしくないはずです。
一方、内装に目を転じると、キットのステアリングホイールにはホーンリングが付いており、シートはセミセパレート式のベンチタイプとなっています。さらに、OTが付くことや、組立説明書にある内張のツートーンカラーの塗装指示などから、内装は65年式の「デラックス」仕様ということになります。ちなみに67年式では、ホーンリングは廃されており、ダッシュボードの上半分が黒いラバーのようなもので覆われ、シートや内張のカラーも組立説明書の塗装指示とは異なります。
というわけで少し長くなりましたが、このキットのスバル360は、65年式「デラックス」の内装に、67年式「スタンダード」のボディをまとったものという結論になります。したがって、年式の正確さにこだわって製作するのであれば、ボディあるいは内装を修正して合わせる必要があります。一番手っ取り早いのは、ボディのサイドフラッシャーを取り除き、65年式「デラックス」を製作することでしょうか。
次回は、素組み完成品を見て、製作する上で修正すべき点などを具体的に述べたいと思います。
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