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2022年8月30日 (火)

第8回 関西オートモデラーの集い その2

レストア(再生)作品に続き、今回は「スクラッチビルド」された作品を紹介します。中でも、全くない物を一から作り出すフルスクラッチは、モデリングの極みと言えましょう。

まず、私にとって絶対に外せないのがこれ、TDMC・T会長のアバルト・トランスポーターです。5月の静岡ホビーショー・合同作品展からまだ3か月しか経っていないので大きな変化は見受けられませんが、真っ平だった金属製の荷台上部に、積載車両の滑り止めプレート(正式名称が分かりません)が設けられていました。
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この網目状のプレートですが、金属メッシュを使ったものと思いきや、何とホームセンターなどで売っている窓用の断熱フィルムを貼って再現されたものです。すっきりと綺麗な立体の網目模様が付いていてリアルさ抜群です。世の中には、探せば使える材料がいっぱいあるんだなと、あらためて思い知らされました。
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これは20年以上前にダイハツが発売したストーリアで、「こんな模型なかったよなあ」と思って眺めていると、製作者の方に声を掛けられました。案の定フルスクラッチされたもので、ボディは、三面図を元に切り出したプラ板に、ひたすらパテ盛り・削りを繰り返して造形されたとのこと。エンジン、シャーシの方も基本的にプラ材の加工によるもので、4輪のサスペンションが独立で可動する足回りのギミックには驚かされましたが、製作者の方はダイハツの関係にお勤めということで、なるほど納得しました。
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スクラッチビルドでは、これらの作品のように金属、プラ材、パテなどを駆使するというのが伝統的な製作方法ですが、近年、台頭著しいのが皆さんご存じの3Dプリンターの活用です。こちらは、その大きさも手伝ってか、まるで本物と見紛うばかりの1/6の日産製NISMOのエンジンです。そもそも3Dプリンターの役割の1つに、実物の試作品などの製作があります。そう考えると本物に見えるのもある意味当然のことでしょう。
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大きなものばかりではありません。クローズアップした写真を撮り忘れてしまったのですが、こちらのハンターカブには3Dプリンターで出力されたチェーンやスプロケットが使われています。チェーンの垂れ具合もさることながら、一個一個に隙間があってスプロケットの歯がちゃんと収まるのには感動しました。
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こちらの作品はペーパークラフトなのですが、写真をご覧になって即座にこれが紙製だと分かるでしょうか。模型で言うところのスクラッチビルドとは厳密には異なりますが、ここまで進化したペーパークラフトは初めて見ましたので、取り上げさせていただきました。
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詳しくは伺えなかったのですが、察するに、製作途中でのパテ修正、あるいは事後の塗装などができない分、造形はもとよりツヤ表現も含めた色分けについて、最初の設計段階で相当緻密な検証、試作が必要かと思われます。前述の3Dプリンターなどとは別世界に位置するものですが、立体図か展開図かの違いはあれど、設計が完成度の高さを左右するという点では共通しているのかもしれません。
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「無いなら作ればいい」と言うのは簡単ですが、熱意や技術がないと到底作れるものではありません。今回はそんなモデラーの情熱溢れる作品を紹介させていただきました。次回、個人的に気になった作品をいくつか紹介して、本イベントの報告を終わりたいと思います。

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コメント

こんばんは。愛知の多田です。もう一週間以上経過しましたが、関西オートモデラーの集いでは楽しい時間を過ごさせて頂きました。また私の拙作「ABARTH TRANSPORTER」をレポートして頂き有難うございます。私もFacebookにて、いこまにあんさんの作品をいくつか紹介させて頂きました。反響があったのはB級スーパーカーでした。(イッコーというメーカーというのも珍しい様です。)また次のタイミングでお会いできることを楽しみにしております。

コメントありがとうございます。
多田さんのトランスポーターは、完成されるまで本ブログで取り上げさせていただきます。また、イッコー・イオタの存在を広めていただき感謝です。とにかく、日本初(ということは事実上、世界初)のイオタの模型はこのイッコー製であるということを多くの方に知ってもらいたいというのが、大袈裟に言えば本ブログの目的でもあります。
次、オー集・名古屋が開催され、お会いできることを切に願っております。

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