イオタ(イッコー)②ミウラJ

2020年6月15日 (月)

イッコー・イオタで作るミウラJ 最終回 ・ イオタの模型を最初に発売したメーカーは?

今回のミウラJを製作するにあたって、初回(その1)で述べたように、ベースとなるイオタのキットをハセガワなどの秀作ではなく、あえてイッコー(一光模型)とした理由は、レストア編の時と同様、「イッコーこそが、日本で初めてイオタのキットを世に出したメーカーである」ということを、声を大にして伝えたかったからです。
Img_3080

昭和50年代初頭、いわゆるスーパーカーブームに乗った多くの少年がそうであったように、私にとっても、ミステリアスなランボルギーニイオタは特別な存在でした。ただ、その人気とは裏腹に、イオタのキットはすぐには発売されませんでした。待ち切れなかった私は、日東から発売されていた「サーキットの狼シリーズ」の1/28ミウラをイオタに改造したことを覚えています。思えば、これが人生初のプラモデルの改造ですが、もちろん小学生レベルなので大したことはありません。戦車のキャタピラの「焼止め」でプラが熱で簡単に溶けることを知っていたので、ヘッドライトの睫毛を接着する部分を熱したドライバーで雑に切り取り、半円に丸めたプラ板でライト内側を製作し、丸く切った透明プラ板でカバーするといった程度でした。サイドのアウトレットなども同様です。そんな時、ついにイオタが発売されることを知り、それこそがイッコーのキットで、その時の期待と失望についてはレストア編で述べた通りです。
Img_3111

このような自身の体験から、我が国でイオタのキットを最初に発売した模型メーカーはイッコーであると信じて疑わないのですが、一つ問題があります。それは、2008年に出版された「日本プラモデル50年史」の付録CD-ROM「日本模型新聞にみる昭和プラモデル全リスト」(以下、「50年史リスト」という)の存在です。このリストによると、発売時期はイッコーが1977年4月で、マルイや日東(サーキットの狼シリーズ)が何とそれより早い1月となっており、検索して発売順に並べるとこれらがトップに来るのです。
Img_3317-2

そんなはずはありません。もし、あの出来の良いマルイや、イッコーより100円安い日東のキットが本当に先(しかも3か月も前)に発売されたのであれば、絶対にこれらを買っていたであろうことは、前述のように改造してでも欲しかった私のイオタへの強い想いからも理解いただけると思います。そして、何より懸念するのは、模型誌などで著名なライターが、50年史リストを根拠に「イオタのキットはマルイ(or日東)が初めて発売」などと述べ、読者がそれを信じてしまうことなのです。

このリストについて50年史の注釈では、「日本模型新聞の1958年から1989年までの各号の①本文記事、②広告、③新製品リストの中からデータを抽出し、作成したものです。(中略)記事、及び広告では予告製品もかなりあり」とし、「完璧なリストではありません」と断っています。確かにリストの一覧にも、「発売(予定)」と記載され、イオタの場合も、実際に発売された月とメーカーが発表した発売予定月などが混在するなどして、月単位で誤差が生じていることは想像に難くありません。

ならば実際はどうだったのかを知りたいと思い、当時の模型誌を調べることにしました。模型誌であれば、新製品情報や広告はもとより、作例記事の掲載時期で確証が得られることを期待したからです。スーパーカーブームの真っ最中に発刊されたモデルアート誌の1976年12月号から翌’77年8月号を調べることとしました。さすがにこれだけ古いと手持ちはなく、すべてヤフオクで落札したものです。
Img_3323-2

残念ながら、当時のモデルアート誌の新製品情報は、現在のようなタイムリーかつ網羅的なものではなく、少なくとも調べた範囲では、イッコーやマルイのイオタの発売時期を明確に記述した文章などは見つかりませんでした。

まず、’7612月号では、10月に開催された第16回全日本プラモデル見本市が報じられ、各メーカーが発表した新製品がリスト化されています。この中でイオタの製品化を発表したのは唯一イッコーのみで、一番乗りでした。また記事では、発売されたばかりの日東サーキットの狼シリーズのディノRSなど初期4点が紹介されています。

続く’77年1月号では、「現在発売されているプラキット一覧表(カーモデル部門)」が掲載されていますが、発刊された前年11月末時点(あるいはそれ以前)の製品と思われ、まだイオタの文字はどこにもありません。記事では、マルイから発売されたばかりの1/24マルボロマクラーレンM23が紹介されています。

2月号(12月末発刊)では、アオシマ1/20スーパーカーシリーズの第一弾、カウンタックLP400が新製品として取り上げられました。特集は、タミヤ1/12の発売に合わせたポルシェ934です。 

3月号では、アオシマ1/20カウンタックや、マクラーレンに続くマルイ1/24タイレルフォード007の作例が掲載されています。本号が発刊されたのは1月末で、50年史リストでマルイや日東のイオタが発売されたとする時期ですが、それをうかがわせるような記事は全く見当たりません。 

4、5月号では、イオタに関して特筆すべき記事はありません。ただ、5月号(3月末発刊)で、マルイ1/24のカウンタックLP500がようやく新製品として紹介され、翌6月号で作例が掲載されました。そして、その6月号の日東の広告で、1/24イオタの新発売が伝えられました。 

5月末発刊の7月号は、恒例の静岡ホビーショー(当時は静岡プラスチックモデル見本市)の速報です。車のキットは、各社まさにスーパーカーのオンパレード。イオタに関しては、イッコーはもちろんのこと、先の日東1/24、グンゼ1/24、アオシマ1/20などの完成品の展示が写真で紹介されています。また記事では、ナカムラ1/24、フジミ1/20も発売予定とされましたが、何故かマルイについては全く触れられていませんでした。 

そして8月号(6月末発刊)で、ついにイオタの最初の作例記事が掲載されます。製作されたキットは日東1/24で、おそらく5月の静岡ホビーショーの前後に発売されたものと思われます。実は、この作例記事にイッコー・イオタの発売時期のヒントがありました。日東のキットが秀作であるとした上で、「中にはミウラだかイオタだかどちらともいえないキットも見かけるが、これは発売を急いだためと思われる。日東の場合は発売時期がややおそかったので、(以上原文のまま、後略)」と記述されているのです。まず、これで日東のイオタが最初ではなかったことがはっきりしました。さらに、あの出来の良いマルイのイオタが上述のように酷評されるはずがありません。すなわち、ミウラだかイオタだかよく分からず、急いで発売されたキットとは、まさにイッコー・イオタを指しているに違いありません。レストア編で述べたように、ミウラP400S以前の幅の狭いリアカウルや、急いだ故に初版でシャーシなどのモールドが省かれていたことなどとも整合するのです。以上から、イッコー・イオタが最初であったことに疑いの余地はないとして、具体的な発売時期ですが、おそらく50年史リストにある1977年4月というのが妥当な線だと思います。
Img_3101

ところで、当のイッコーは、ほどなくして廃業し、静岡ホビーショーの出展はこの年が最後だったようです。イオタを最初に発売した模型メーカーが、スーパーカーブームの終焉とともに消えていったことに、得も言われぬ感情を抱くのは私だけでしょうか。

というわけで、これで本編を終了しますが、イッコー・イオタに関しては、実はまだやりたいことがあるのです。開始はいつになるか分かりませんが、「原点回帰」がキーワードです。

2020年5月24日 (日)

イッコー・イオタで作るミウラJ その17 ・ 完成

ミウラJの完成です。実のところは、残念ながら中止となった3月末の四国オー集に間に合わせようと製作していたので、とっくの前に完成していました。
Img_3023
Img_3038

前から見たところです。ウインドウ越しにキャブのエアファンネルが見えます。
Img_3020
Img_3018

大きく張り出したフェンダーが目立つリアスタイル。
Img_3042

よく見ると、シェードの隙間からもエアファンネルが僅かに見えていますね。
Img_3036

サイドから上面へ。このキットの特徴であるリアカウルの短さ、ルーフの細さなどがよく分かるカットです。
Img_3057
Img_3055

展示ベースは、WAVET・ケース(M)です。ステッカーで製作したネームプレートは、レストア編と同様にパッケージを模したデザインとし、イッコーのロゴマークの中にある品番は「?」としました。
Img_3001-3
Img_3007

一応、ミウラJの製作に関しては今回で終了ですが、昨年暮の記事「イッコー・イオタ再始動!」で触れたように、次回、このキットの発売時期などについて述べて終わりたいと思います。

2020年5月22日 (金)

イッコー・イオタで作るミウラJ その16 ・ 内外装の塗装

さて、ミウラJの記事を再開します。前回までで工作は一通り完了したので、塗装に移ります。まず、ボディカラーですが、製作を開始した当初は、おそらく実車がそうであったであろう明るめの赤に塗装するつもりで、クレオスのモンザレッドあたりの使用を考えていました。

いや、ちょっと待て。今回のコンセプトは、初回(その1)で述べたように、「イッコー模型が昭和52年に製品化していたら」だったはず。これも何度も紹介していますが、イッコー模型が発売したイオタの初版はメタリックの緑でした。架空とはいえ、そんなメーカーが発売するものがオーソドックスな赤でよいのか、という疑問が沸いてきました。
加えて、今回の製作で製品写真を参考にさせていただいたMAKE UPさん発売のIDEA製ミニカーでは、赤だけでなく、黄色やシルバー、メタ緑までラインナップされています。正統派のメーカーでさえ、モデルならではの遊び心が見受けられるのです。

悩んだ結果がこれです。写真では少し分かりにくいですが、赤は赤でも、メタリックです。使用したのはタミヤラッカーのピュアーメタリックレッドです。ルビーレッドのような濃いメタ赤も浮かんだのですが、やはり実車のイメージに引きずられました。
Img_2040

基本塗装を終えた状態です。
Img_2688
Img_2699

外装の小物パーツ類は粛々と塗装するのみですが、ひとつだけ変わったものを紹介します。ヘッドライトは、ご覧のようにリムとレンズが一体のメッキパーツです。
Img_2739-2

レンズ部分を薄く溶いたエナメルのホワイトで塗装、中央部をぼかし、これまた薄く溶いたスモークグレーで墨入れします。ほんの一瞬でも、レンズ部分がクリアパーツのように見せようという目論見です。
Img_2736-3

完成した室内、シャーシです。消火器(といっても半分ですが)の赤が目立っています。今回は、レストア編のようなエンジン細部や補器類の塗装はオミットしました。完成後は全く見えませんし、そもそも補器類は実車と異なるでしょう。
Img_2847
Img_2839

次回、展示ベースと合わせて完成品のお披露目となります。

2020年2月 7日 (金)

イッコー・イオタで作るミウラJ その15 ・スライド式小窓の製作

1つ製作するのを忘れていました。はめ殺しのアクリル製サイドウインドウに付くスライド式の小窓です。ある時点で助手席側にも設けられたそうですが、手元の資料ではドライバーズシート側のみに見受けられます。使用するキットのウインドウパーツは、このようにフロント、サイドが一体となったものです。
Img_2052

普通の製作方法であれば、窓の一部を切り抜き、透明プラ板で製作した小窓を取り付けるなどするのでしょうが、今回はそんな手の込んだことはしません。イッコー製ならではの、ウインドウパーツに直にモールドされているような感じを目指します。まず、小窓の縦方向のラインをスジ彫りします。
Img_2055

上下のスライドレールは、透明レジンで再現することにしました。レールの形状にマスキングしてレジンを流し込みます。
Img_2059

マスキングテープを剥がすと出来上がりです。小窓の部分が一段へこんでいれば、なおリアルでしょうが、まあ雰囲気重視ということで。
Img_2070

ボディの塗装なども完了していますが、乾燥に時間を取りたいので、次回の更新は少し先になりそうです。その代わりに、別の作品を紹介してゆく予定です。

2020年2月 4日 (火)

イッコー・イオタで作るミウラJ その14 ・外装パーツ等の製作

フロントグリル(バンパー)は、キットのパーツを利用して製作することにします。ウインカーなど、できるだけイッコー製のプラモデル感を残したいからです。
001_20200204173801

そのままでは、ボディ側のグリルパネルが干渉してはめ込むことができないため、ウインカー部分などを残して上部をカットします。
006_20200204173901

グリル開口部は、開けっ放しでラジエターなどが丸見えという説もありますが、手元の資料やミニカー等では金網で塞がれているので、これを再現します。といっても大したものではなく、開口部の形状に切り出したプラ板に金属メッシュを貼ったものを取り付けただけです。通常の製作であれば、メッシュは抜けている方がリアルなのでそれだけを使うのですが、今回はあえて「モールドされたプラパーツ」感を出しました。
Img_2008

ボディに取り付けると、こんな感じです。
Img_1995

フロントカウル上部のアウトレットに、プラ棒に金属線を差し込んで製作したキルスイッチを取り付けます。こちらもプラパーツ感を出すため、シルバー塗装をしてから取り付けます。写真右の丸いものは、コトブキヤのモデリングサポートグッズから持ってきたフィラーキャップです。
Img_2018

ダブルアームのワイパーは、当初はプラ棒で完全に自作するつもりだったのですが、たまたま似た形状のワイパーのパーツを見つけたので、これのアーム部分を使いました。元は何のパーツかと言いますと、以前製作したタミヤのCR-Xのリアワイパーです。本ブログでも紹介したように、製作したのがリアワイパーのない廉価版の「1.3」だったので、このパーツが余っていたということです。
Img_2015

写真左の2個のパーツは、ドアハンドルとプッシュ式(?)ノブを一体化したものです。ドアハンドルは金属線の方がリアルなのですが、あえてプラ材とし、また、厳密にはこれらは別々に取り付けられているものですが、こちらもプラモデル感を出すためにあえて一体パーツとしました。写真右の四角いパーツは、トランクのキー部分に取り付けられたものですが、実は何かよく分かりません。ナンバー灯のような気もするのですが。
Img_2017

ミウラJのテールライトは、リアカウル製作時にも述べたように、初期のタイプのものとなります。キットの後期型のパーツ(上写真)をベースに形状を変更し、レンズをプラ板で製作しました。ここでも、透明プラ板などは使わず、下地にシルバー、上からクリアレッドなどを塗装することにします。
Img_1961
Img_2013

こちらは、リアエンドに開いたアウトレットの金網部分のパーツです。フロントグリル同様に、プラ板に金属メッシュを貼り付けました。塗装後に内側から取り付けるために、接着しろを設けています。
Img_2014

リアエンドの下部内側を製作します。写真上がキットのパーツですが、こちらは流用せず、プラ板から製作することにしました。中央に金網があるので、金属メッシュを貼ったプラ板で再現します。丁寧にプラ帯棒で外枠も付けています。
Img_2019

2本の長さの異なるマフラーパイプが、それぞれ左右から顔を覗かせますので、プラパイプで製作しました。こちらもシルバー塗装後に取り付けます。
Img_2011

フェンダーミラーについては、写真はありませんが、ハセガワ1/24のミウラのものを流用することにしました。ちなみにこのミラーパーツは、通常版ではオプション扱いで、さらにはゴールドレストア版などでは、不要部品とされているものです。

次回は、ボディなどの塗装から、一気に完成に持ってゆきたいと思います。

2020年1月30日 (木)

イッコー・イオタで作るミウラJ その13 ・室内、エンジンの加工

キットのバスタブ型室内の後部には、シャーシのフレームに囲まれたエンジン上部が一体で再現されています。ただし、このエンジン部分は、リアカウルを開閉できるようにでもしない限り、完成後はほぼ100%見えなくなります。これでは、せっかく丁寧に塗装をしても甲斐がなく、ましてやディティールアップなんて論外です。
Img_1838

一方、実車では、カウルを開けなくてもエンジンの一部が見える箇所があります。シート側からリアガラス越しに、キャブレターの頭などが見えているのです。ところがこのキットの場合、透明であるはずのガラス部分がすべてプラとなっているので、それを遮っているのです。
Img_1832

この台形の部分は、本来はその形のフレームを残して透明なのですが、まさに「黒い壁」となり、後ろのエンジンは全く見えません。そこで、正確を期するのであれば、この部分を透明プラ板に置き換えるということになるのでしょうか、ここはあっさりと取り除くだけにしました。完成後、直に見える箇所ではなく、フロントやサイドウインドウ越しに覗くことになるので、それで十分だと判断したのです。
Img_1836

ご覧のように、「黒い壁」がエンジン部分とバスタブを繋ぐ役割を果たしています。ということは、これをカットすれば、当然エンジンは分離することになります。
Img_1864

壁を取り除いた後に、エンジンを元の位置に接着するために、カット前にL字型のプラ棒で「接着しろ」を設けました。プラ棒が透明パーツなのは、これしかなかっただけで特に意味はありません。もっとも、カット後に、キットのままだとエンジンの位置が高すぎることが判明したため、接着しろも修正しています。
Img_1898
Img_1917

カットしたエンジン部分です。リアルさ云々を言うレベルのものでないので、基本的にそのまま使用することにします。ただし、あまりにも平面的、すなわちキャブとエンジンブロックの高さがほぼ同じなので、ここだけ手を加えることにします。
Img_1905

プラパイプをカットして製作した「なんちゃってキャブレター」を装着してみました。
Img_1937
Img_1933

細かいパーツ類ですが、ステアリングホイール(写真左)は、フジミのミニクーパー・レーシングから流用したもの、ドライバーズシートのヘッドレスト(写真中央)はキットのものです。写真左の筒のようなパーツは、シフトゲート前部に設置された消火器のお尻の部分です。製作した消火器が一部だけというのは、前回述べたように、奥行のスペースがないことからです。
Img_1931

以上で、基本的な加工は完了したので、仮組みしてみました。内張には何のモールドもありませんが、幸いミウラJの場合、内張は剥がされ、板状のものがリベット打ちで張り付けられたような感じなので、このままで良しとします。なお、写真にはありませんが、シフトノブ、サイドブレーキはキットのものを使用します。
Img_1922

シートについては、こんな簡素なものにも関わらず、ご丁寧に助手席側にも装着されていたようです。これは、当時のFIAのレギュレーションによるもの、すなわち「2座席」という要件を満たすためだと思われます。
Img_1924

次回は、外装の各種パーツ類の製作を予定しています。

2020年1月29日 (水)

イッコー・イオタで作るミウラJ その12 ・シート、インパネの加工

室内に限ったことではありませんが、この車の資料は極めて少なく、実態はよく分かりません。ネットで実車の室内とされる海外の画像、また、2013年に発表された「クローン・イオタ」の写真などを参考に、それらしく製作することにしました。

まず、キットのシートは、両サイドのホールド部分が直立気味ですが、ノーマルのミウラのものを模したと思われます。
Img_1753 

一方、ミウラJのシートは、背もたれから座面にかけ、おそらくウレタン素材と思われる丸太状のものが並ぶだけの恐ろしく簡素な造りです。座面も相当低いと思われますが、構造などは全く分からないので、一から製作するのではなく、キットのシートを流用することにしました。シートの表面を削り、WAVEの半丸棒(3mm)を貼り付けます。
Img_1754
Img_1810

次にインパネです。キットのダッシュボードには、特徴的な6連メーターも再現されています。(写真ではメーターが抜けているように見えますが、反射して光っているだけです。)
Img_1763

バスタブ型の室内に取り付けると、こんな感じです。なお、室内をほぼストレートに組み立てた状態は、「イッコー・イオタ①レストア」編の「その11・室内等」で紹介した通りです。
Img_1766


資料などを見ると、ミウラJのダッシュボードは、シート同様、非常にシンプルで、6連メーターはありません。また、ドライバーズシート正面の2つのメーターは、キットのように左右均等に並ぶのではなく、1つ(おそらく回転計)がほぼ正面に位置し、もう1つは右に寄るというレーシーなものです。これらを挟むように小さなメーターが付いています。そこで、キットのダッシュボードからメーターの計器の部分を、また、バスタブからメーターのふくらみ部分を切り離してこれらを接着し、プラ板を付け足して形を整えます。
Img_1772
Img_1816

プラ板で製作したダッシュボードにメーターを取り付けます。小さい3つのメーターは、コトブキヤのモデリングサポートグッズの円型パーツです。
Img_1858
Img_1861

シートとダッシュボードを仮組みした状態です。メーター下には、ステアリングホイールを取り付けるために、バスタブ壁面にプラパイプを接着しています。足元は、ペダルどころか奥行のスペースがほとんどなく、当初は切り抜くことも考えたのですが、切り抜いてもすぐ向こうの電池ボックスが現われるので、そのままとしました。電池ボックスを削ってまでの加工は、「イッコー製」らしさを損ないかねませんし。
Img_1844  

次回は、引き続き室内と、バスタブ一体のエンジンを加工します。

2020年1月16日 (木)

イッコー・イオタで作るミウラJ その11 ・車高調整

まずフロントタイヤですが、そのまま装着すると、ご覧のように向こうが見えるほどの隙間ができます。前作レストア編で述べたように、元々モーターライズゆえに走行に支障を来たさないよう十分なクリアランス確保が必要だったためと思われます。
003_20200116060101

そこで、前作同様、アッパーアームが付いている電池ボックスを底上げすることで車高を下げることにします。ただし今回は、ホイールが前作で使用したキットのものより小径で、そのままではロワアームに引っ掛かって入らないので、シャーシ一体のロワアームをプラリペアで補強の上、下面を中心に削ります。
Img_1745
Img_1746

結果、フロントの車高はこの程度まで下がりました。
005_20200116060501

次にリアタイヤですが、そのまま取り付けるとこのようになります。この写真だけを見ると、このままでも良さそうですが、フロントの車高を下げたことで少しヒップアップ気味になるので、リアも下げます。
002_20200116060601

製作の趣旨から、キャンバーを付けるなどの凝ったことはしないので、車軸の穴を上に開けるだけの簡単な加工で済むと高をくくっていたのですが、いざタイヤを取り付けようとすると、シャーシのタイヤハウス上面に当たって入らないことが判明したので、これを削り取りました。上の写真が元のキットの状態、下が加工したものです。
Img_1747
Img_1748

何とかリアも下がりました。
006_20200116061101

全体はこんな感じです。
008_20200116061201
010_20200116061201

もちろん、ステアも可能です。
014_20200116061301

次回は、イマイチよく分からず、どう処理しようか悩む室内です。

2020年1月15日 (水)

イッコー・イオタで作るミウラJ その10 ・タイヤの選択、ホイールの加工

キットのタイヤ、ホイールは、径やトレッドが全く異なるので使えません。そこで、まずタイヤですが、使用したのはモデルファクトリーヒロ製の「70年代プロトタイプカー用タイヤセット」です。実際、ミウラJは70年代のレースシーンを想定して作られた車ですから、チョイスするタイヤとしてふさわしいとも言えるでしょう。特にリアタイヤ(写真右)は素晴らしく、径が小さくてこれだけ太いものは中々ないと思います。
Img_1709

次に、ホイールですが、実車のそれはカンパニョーロ製だそうで、ディスク部分に多数のフィンが付いたこの車専用のものです。したがって、そのままで流用できるものはないので、何かをベースに製作するより他にありません。
今回ベースに使用したのは、オレンジウィールズ・ユーロスタイル(写真左)で、ディスクの真ん中にコトブキヤのモデリングサポートグッズの円型パーツ(写真中)を取り付けます。センターのロックナット(写真右)は、昨年末に本ブログで紹介した「DIY ROBO・萬丸(まんまる)」に入っているパーツです。金属ナットなどと違って精密さには欠けますが、むしろイッコーの製品らしさが出ると思い、使うことにしました。
009_20200115031501

ディスクのフィンは、何とプラ棒を一本一本接着して再現することにしました。ディスク外周のスリットに合わせたので、スリットの数だけプラ棒を付ける必要があります。当然、4輪ともです。本当に面倒臭くて、他の製作作業の合間にボチボチと進めました。
013_20200115031601

作業の順番が分かるように並べた写真がこちらです。左から、まずディスクの真ん中に円型パーツを付け、そこから放射状にプラ棒を接着し、はみ出た外側をカットして整えます。
019_20200115031701

リムは、同じオレンジウィールズのMスタイルのものを使用しました。というのは、ユーロスタイルに付属するリムの内側には、実車のホイールには見当たらないボルトのモールドがあるからです。ちなみに、このMスタイルのリムは、以前ホンダCR-X 1.3を製作した時の余ったパーツです。リアの方は、プラ板でさらに深リム化しています。
082_20200115032001

完成したフロントホイールです。裏側(写真右)には、車軸受けにポリキャップを埋め、抜けないように円型パーツでカバーをしました。
Img_1715

太いタイヤに合わせて深リム化したリアホイールです。リムを延長した裏側の部分は、プラリペアで補強しています。
Img_1722

リアホイール裏側の車軸受けは、左右で少し長さが異なります。これは、シャーシの右側のタイヤハウスが、モーターライズ走行用のギアを収めるようにオフセットされているからで、長い方が右側ということになります。
Img_1726

ホイールにタイヤを履かせてみました。センターのロックナットは塗装後に取り付けます。あらためて眺めると、ディスクのフィンの数などは実車より多いような感じがしますが、まあ、今回は雰囲気重視ということで、これでよしとします。
Img_1703

次回は、これらタイヤを使ってシャーシの車高調整を行います。

2020年1月13日 (月)

イッコー・イオタで作るミウラJ その9・サイドシルの加工

ミウラJを再開します。ボディは、ひとまずサフを吹き終えた状態で止め、シャーシ、足回りに移ります。

キットのシャーシを横から見たところです。サイドシルの上に前後2本の爪があります。
031_20200113042101

この爪が曲者で、ボディを被せてみると、はめ込んだサイドの反対側は、このように爪がはみ出します。無論、ボディはプラなので押し込めば済むのですが、その分、サイドが広がってしまい、せっかく下部を削って絞り込ませたのが無駄になってしまうわけです。
033_20200113042401

そこで、この爪を取り払い、ややはみ出し気味となるサイドシル上側を削るために内側にプラ棒を貼ります。合わせて、リア側のインテークはミウラJにはないので削り取るとともに、前回紹介したリアカウル前端が収まるスペースを設けました。
037_20200113042601

さらに、サイドシルの前後には、リベット打ちされた補強板のようなものが見受けられますので、これをプラ棒で再現します。
Img_1516

特に前方の補強板は、実車写真(雑誌のコピーから一部抜粋)を見るとフロントカウルに斜めに食い込むような形になっているようです。
Img_1521

実車写真とは反対のサイドになりますが、こんな感じでしょうか。隙間が開いているのは、ボディを軽く被せただけだからです。
034_20200113043001

続いてシャーシには、車高調整のための加工が必要となりますが、その前に、次回はタイヤとホイールを紹介します。

無料ブログはココログ